デトロイトテクノの精神 Black Soul Machine Music

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これはクラブ・ミュージックについての話だ。と同時にアンダーグラウンドで生きる人たちの自由と快楽と、絶望と希望をめぐる物語でもある。そして願わくば、読者にとって希望の物語であって欲しい。

※(野田 努著 ブラックマシンミュージックディスコ、ハウス、デトロイトテクノP13より抜粋)

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デトロイトテクノ

時は70年代後半、自動車産業で活気があったデトロイトは日本企業の台頭や、産業構造の変革の影響で企業からの大量解雇や倒産、工場の閉鎖などが相次ぎ多くの失業者を出していました。ダウンタウンには失業者が溢れ暴動や犯罪は多発、かつての光輝いたシティは夢も希望もない荒廃したシティへと変わり果ててしまったのです。その様な絶望的な背景から一つの音楽ジャンルが生まれるのです。

始まり

77年頃までのデトロイトのラジオから流れる音楽は、黒人用と白人用とで差別化されていました。そんな中、当時のDJ担当のCharles Johnson(チャールズ・ジョンソン)は黒人ファンクP-Funkや白人電子音楽Kraftwerkや黄色人電子音楽YMOなど、良いものに人種など関係ないが如くバシバシ流しまくってました。

そのラジオ番組を聴いて多大な影響を受けたビルヴィレ地方の黒人の若者、Juan Atkins(ホアン・アトキンス)と彼から高校時代に音楽やターンテーブルの使い方を教えてもらったDerrick May (デリック・メイ)Kevin Saunderson(ケヴィン・サンダーソン)彼ら3人の若者が、当時音楽制作の流行からすでに廃れていた格安の機材達を購入して、自宅のベッドルームで作り出したのが始まりです。

隣接した町、シカゴからの影響

同時期に隣町のシカゴでWarehouse(ウェアハウス)というクラブが出来ました。ここにニューヨークのクラブで活躍していたDJ、Frankie Knuckles(フランキー・ナックルズ)が招かれます。かけていた音楽はフロアを魅了し、いつしか人々からウェアハウスでかかっている音楽、が略されて、ハウスと呼ばれるようになりました。

フランキー・ナックルズのプレイを聴いて未来と希望を感じたホアン・アトキンスとデリック・メイは、やがて自分達も故郷デトロイトでシカゴのようなパーティーをやりたいと思うようになり、本格的な活動を開始します。

デトロイトテクノの誕生

彼らの音楽は当初デトロイトのハウスミュージックと呼ばれていたみたいですが、ホアン・アトキンスが、未来学者アルヴィン・トフラーによる著書『第三の波』の文中より「テクノレベルズ」(技術に対する反逆者)という造語に触発されてから自らの音楽をテクノと呼び、イギリスの音楽評論家からハウスとは異なる特徴を持つ音楽と認識されます。大まかに言えば彼らのテクノはリズムマシンやシンセを使うのですが、どこかソウルフルで、宇宙観のあるサウンドが特徴の一つ。ここにデトロイト出身のアーティストが作るテクノ=デトロイトテクノの誕生です。

アメリカからヨーロッパへ

彼らの働きかけが実り、デトロイトのクラブミュージック文化は急速に発展していきました。Jeff Mills(ジェフ・ミルズ)Mad Mike(マッド・マイク)Carl Craig(カール・グレイク)Stacey Pullen(ステイシー・パレン)Octave One(オクターブ・ワン)Kenny Larkin(ケニー・ラーキン)、John Beltram(ジョン・ベルトラン)、ら才能溢れる若者達がデトロイトから続々と登場。


また80年代後半から発生したイギリスのダンスカルチャーブームとも重なり、勢いはヨーロッパ全土へと拡大。中でもケヴィン・サンダーソンは87年にシカゴの女性ヴォーカリスト、パリス・グレイを迎えて結成したユニットInner CityのファーストトラックBig Funでイギリスのダンスチャートのトップ10にまでランクインして、全世界600万枚の大ヒットを記録!!

日本からも影響されたアーティストが世界へ

93年頃、一人の日本人青年の学生時代に制作したデモテープがベルギーのレーベルR&Sレコーズに採用されます。アーティスト名はKen Ishii(ケン・イシイ)1stアルバムのGARDEN ON THE PALMはデトロイトテクノに影響されたサウンドで、イギリスの音楽雑誌NMEのテクノチャートNo.1を記録します。「日本人がイギリスのチャートでNo.1?」これは当時かなり衝撃的な出来事でして、それと同時にまだまだ、日本では一部の人しか知らなかったアンダーグラウンドなデトロイトテクノと言う存在を、一般的なクラブミュージック好きな若者も知る事になったのです。

受け継がれていく精神、未来へ

その素性や環境、その身分や職掌からして、または支配的な時代の見解からして、予期されているのとは別様に考えるその人は、自由精神と呼ばれる。かの哲学者ニーチェの言葉ですが、この自由な精神こそがデトロイトテクノの神髄。まだ聴いたことのない方は、是非一度聴いてみて下さい。EDMが全盛期から、やや陰りをみせている今の時代だからこそ、深く掘っていきたいジャンルの一つです。何か新しい発見があるかもしれませんよ。まだまだデトロイトテクノの物語は終わっていません。

デトロイトテクノの名曲一例

Model 500/NO UFO’S ■Cybotron/Clear 

Rhythim Is Rhythim/Strings of Life 

■Jeff Mills/i9 ■Galaxy 2 Galaxy/Hi-Tech Jazz 

■Carl Craig/At Les ■Octave One/I Believe ■Aztlan/Daystar Rising 

■Kenny Larkin/Metaphor ■DJ Rolando /Jaguar

デトロイトテクノのアーティスト達が愛用した機材一例

Roland/TR-909,TR-808,TR-707,TR-727,JUNO-106,JD-800

■KORG/MS-10,M1,WAVESTATION,01/w,X3,N364

■YAMAHA/DX100 ■AKAI/S612,S900

■Sequencial Circuits/pro-one ■OBERHEIM/Matrix-1000 

waldolf/microwave,pulse ■ensoniq/Mirage ■Kurzweil/K2000 

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